自然と向き合い、創造の喜びを学ぶ–「FANTASISTA」作品展が終了

イベント 松本 陽一
自然と向き合い、創造の喜びを学ぶ–「FANTASISTA」作品展が終了

東京都渋谷区・ヒカリエ8階「8/COURT」にて、11月7日から9日にかけて、小中高生による「自然に学び、アートと向き合う」作品展「FANTASISTA」が開催された。主催は東京都および多摩美術大学を中心とする「ネクストクリエーション2025」プログラムである。

数多くの展示の中でも、特に目を引いたのは、中高生コースの生徒たちが高尾の森で採取した木の枝や落ち葉、実などの自然物を素材に制作した動物の彫像であった。わずか5日間という制作期間ながら、剥製でもフィギュアでもないその作品群からは、今にも動き出しそうな生命の鼓動が伝わってきた。

自然物を用いるため、思い通りの形を作るには試行錯誤が欠かせない。さらに、接着や補強には動物性の膠(にかわ)が用いられた。これにより、作品は展示後に自然へと還る循環性を備えることとなった。

自然と向き合い、創造の喜びを学ぶ--「FANTASISTA」作品展が終了

 



効率や成果が重んじられる現代において、この「森へ還す」という営みは一見非効率に映るかもしれない。しかし、子どもたちの感性を育成するには、まさにその非効率の中にこそ大切なヒントがあることを、本取り組みを通じて実感した。

制作の過程では、多摩美術大学の学生が子どもたちとともに手を動かし、背中で“ものづくりの楽しさ”を伝えながら助言を送った。自然素材の扱いに苦労しながらも、工夫を重ね、自らの手で形を生み出す経験は、生徒たちに深い没頭と発見の時間をもたらした。

人工物が幅を利かせる世の中だからこそ、自然を媒介としたアート教育の力が際立つ。子どもたちが自然と向き合い、創造する喜びを体現した「FANTASISTA」は、次世代の感性を育む貴重な場となった。