成績アップの救世主!? わが子のキーパーソンを見つける
「苦手弱点を克服させて少しでも成績を伸ばし、志望校に近づかせたい!」そんな切実な親の想いとは裏腹に、 勉強しようとしない我が子の姿にイライラを募らせている保護者の方も多いのではないでしょうか?
保護者のみなさんが、思わず「いいかげんに、勉強しなさい!」と叱りたくなる気持ちもわかります。
今回はまず初めに、成績アップの条件からお話ししましょう。
重要なことは、“成績が上がる学習の条件式” は「かけ算」であることです。つまり、どれか一つでも、ー (マイナス)がつくと、結果はマイナスに変わってしまいます。
そして“勉強に対して前向きな気持ちで取り組む”ということは、成績アップには欠かせない条件の一つです。やらされ勉強では結果は出ないのです。
では、「勉強に対する前向きな気持ち」は、どうしたら生まれるのか、そして維持できるのでしょうか。
今回はこのことについて考えてみます。
- *正しい勉強方法
-
- 五感を使って覚える
- 苦手・弱点をなくす
- 何度も繰り返す
- 演習で使えるようにする
- 自分の頭で考える
親は、我が子のキーパーソンにはなれない!?
兄姉や身近な友人の成功例を話したり、勉強方法についてのアドバイスをしても、“親の言うことを聞こうとしない…”、“素直に受け入れようとしない…” という保護者の方の声をよく聞きます。
親のよかれと思ってのアドバイスは、子供たちに聞いてみると(親の想いとは裏腹に)別の受け止め方をすることが多いようです。
子供にとって重要なことは
「何を言っているか」(内容)ではなく、「誰が言っているか」(発言者)ということ。
“この人の言うことは素直に聞ける” というキーパーソンが、勉強のアドバイスをすることが必要なのです。
では、それは誰なのでしょう?
魔法の言葉をかけて「同じことを、親があれほど言ってもダメだったのに⁉」と、驚かせてくれるキーパーソンは、果たしているのでしょうか。
個人差がありますが、大半の子供は親以外の人をキーパーソンに挙げます。
確実に成績を上げてくれるキーパーソンは誰?
残念ながら勉強のキーパーソンが親ではないならば、どうすればよいのでしょう。“成績が上がる学習の条件式” を理解していている人に委ねられれば、成績アップは確実です。
その子、その子に応じて、正しく勉強を指導できる人がキーパーソンであればよいのです。
例えば次の、個別指導中の生徒と教師との会話を見てみましょう。
生徒と教師の間に、「どれ位の信頼関係・影響力があるか、そして具体的にアドバイスできているか?」が、成績アップのカギとなるという事例です。
キーパーソンではない人が同じことを言っても、その場では納得するものの続かなかったり…、そもそも聞く耳を持たなかったり…、という状態に陥りがちです
(教師) 「どうして、この英文が正しく訳せなかったと思う?」
(生徒) 「やはり、単語や熟語、あと分詞構文の理解が中途半端だったからだと思います。自分では、マスターできたと思えるほど、分詞構文についてはしっかり演習をしたつもりだったんですが・・・。」
(教師) 「確かにそうだね。この単語は、他動詞で現在分詞として使われていること知っていれば、正しい訳ができたと思うよ。」
「分詞構文については、“譲歩を表す分詞構文“はできなかったけど、”完了形を使う分詞構文“はできていたね。あと1歩の所まで来ているので分詞構文はForestのTARGET例文を読んでから、Check問題で復習をしておこう!」
(教師) 「ところで、単語の勉強は、どうやっているの?」
(生徒) 「毎日、学校でターゲット1900からの単語テストがあるので、通学の電車の中で眺めながら勉強しています。」
(教師) 「そうか、その方法では、さまざまな使われ方をする、この単語の意味を理解することはできなかったのかも知れないね…」
(教師) 「明日からは、単語帳を見るのは最終チェックだけにして、右のページに書かれている例文を書いて覚えたり、WEBから音声ファイルがダウンロードできるからリスニングをしながら覚えるようにしてみよう。そうすれば、今回の問題と違った使われた方をした場合でも、間違うことがなくなるよ。」
二人の会話での重要なポイントを整理してみると、
キーパーソンである教師が、成績アップのための正しい学習法を提示できていることが挙げられます。
ポイント1: 問題点や課題を、具体的な答案を元に生徒自身に振り返って考えさせる。
ポイント2: 指導者から見て、何が足りなくて正解できなかったかの説明。
ポイント3: 勉強方法についての確認後、成績が上がる勉強方法についての具体的な修正指示。
ポイント4: 正しい勉強ができれば、今後同じ失点がなくなる具体的な説明。
生徒が教師の話を素直に受け止めて、前向きに勉強に取り組み
「目標設定」 → 「結果検証+分析」 → 「課題と次の目標設定」 のサイクルが回り続ければ、成績はアップしていくでしょう。
プロの指導者は、自らキーパーソンになれる
毎年多くの生徒を預かり、志望校合格へと導いていくプロの指導者は、さまざまなケースでの具体的な指導ノウハウを持っています。生徒と1対1でしっかり向き合うことで、自分が生徒のキーパーソンになることができ、それが成績アップのカギになるということも熟知しています。
とはいえ、なかなか「勉強に対する前向きな気持ち」が起きない生徒もいます。それまでに極度に勉強への自信を無くしていたり…、受験勉強が難しいと思い込んでいたり…。
そんなときでも、勉強に前向きにさせる=勉強を面白くさせるという状況を作るために、
STEP1「まずは正しい方法で取り組ませる」 → STEP2「良い結果を出す」 → STEP3「勉強そのものへの考え方が変わる」 といった逆転の流れで生徒を動かし、良いループを作ることができるのが本当のプロの指導者です。
数多くの指導経験があるからこその技ですが、ここぞという時には頼るべき手段ではないかと思います。
- 執筆者紹介
-
樋口 慎治(名門会家庭教師センター 教務担当)
ひぐち・しんじ/2019年度医学部入試235人の合格実績をもつ社会人プロ家庭教師「名門会」の教務担当。大手進学塾での講師・教室長経験を経て、2007年に入社。生徒一人ひとりの志望校合格カリキュラム作成のノウハウをもとに、中学受験~医学部受験まで学年を問わず、数多くの受験生をサポートし合格へと導いている。
名門会家庭教師センター
URL:https://www.meimonkai.co.jp/