私大難化の時代、女子大は魅力的な選択肢 専門職養成や有名企業への就職に強み
志願者が増加した日本女子大学=写真
女子大は、中小規模の大学が大半を占め、学生一人ひとりに目が届く良質な教育と面倒見の良さに定評がある。専門職の養成に直結した学科が多く、保育士や幼稚園教諭、保育教諭の就職者数や、管理栄養士国家試験合格者数の大学別ランキングでは、女子大が多数上位に入る。
最近は看護学部や薬学部を設置する女子大が増え、専門職の分野も広がってきた。また、津田塾大や東京女子大のようにリベラルアーツ教育に力を入れる女子大や、美術、音楽などの芸術を学べる女子大も多い。女子学生だけの環境を生かして、女性のリーダーシップ育成や、感性を伸ばす教育が行われている。
就職状況の良さも特徴のひとつだ。2018年3月卒業者の著名400企業への実就職率(400社就職者数÷〈卒業生数-大学院進学者〉×100 大学通信調べ)を見ると、国公私立全大学の上位50校中、女子大が8校入った。
女子大の学校数は、国公私立全大学の1割弱。理工系大や難関国立大、私立総合大と肩を並べ、存在感を示した。業種別の実就職率では、各業種上位20位中、生損保(12社)が10校、金融(33社)8校、運輸(20社)7校が女子大だ。
就職を視野に入れて大学を選ぶ傾向が強い中、19年の私立大入試は、女子大の志願者増加が特徴的だった。日本女子大、津田塾大、学習院女子大、聖心女子大、清泉女子大、昭和女子大、大妻女子大、駒沢女子大などで増加し、川村学園女子大と恵泉女学園大では前年の1.8倍という大幅増になった。
私立大の難化を受け、女子受験生が本命校や併願校として女子大を選択したためだ。きめ細かな教育と資格取得、就職状況を考えると、女子大は進学先としても魅力的だ。
さて、20年の学部新設予定について主なものをあげてみよう。経営系の学部設置を予定しているのは、共立女子大・ビジネス*、園田学園女子大・経営*、武庫川女子大・経営*だ。理工系学部も誕生する。武庫川女子大は、女子大初の建築学部*を開設予定。昭和女子大が設置予定の環境デザイン学部も一級建築士を目指すことができる。
男子学生の比率が高い学問分野を女性の視点から学べるのは、女子大のメリットと言える。人気の国際系では、和洋女子大・国際*、甲南女子大・国際が開設予定だ。大学新設では名古屋柳城女子大・こども学部*がある。(*設置認可申請中・設置構想中。仮称を含む)
なお、お茶の水女子大は20年からトランスジェンダー学生の受け入れを開始する。同大では「多様性を包摂する女子大学と社会」の創出に向けた取り組みと位置づけている。固定的な性別意識にとらわれず、多様な女性があらゆる分野に参画できる社会の実現につなげたいとしている。各入試の出願開始の1カ月余り前まで事前相談を受け付ける。