国際基督教大学(ICU)、文部科学省に先行した教育プログラム『学士・修士5年プログラム』の成果を発表

教育 文 遠藤拓人(大学通信)
国際基督教大学(ICU)、文部科学省に先行した教育プログラム『学士・修士5年プログラム』の成果を発表

国際基督教大学(ICU)は12月8日に記者懇談会を開催し、同大学が実施する『学士・修士5年プログラム』のこれまでの成果について説明した。学部から大学院までを一貫して学ぶ「5年プログラム」は、学部で4年、その後大学院(博士前期)1年の計5年で、「学士」と「修士」の両方の学位を取得することができる制度だ。

国際基督教大学(ICU)、文部科学省に先行した教育プログラム『学士・修士5年プログラム』の成果を発表
提供:国際基督教大学

学生の高い学修ニーズに応えることに加え、成熟した知識基盤に立つ現代国際社会が求める国際的なリーダーシップを発揮する人材の育成、さらに優秀な学部学生に多様な進路の選択肢を与えることを目的に、ICUは2011年度にこの『学士・修士5年プログラム』を導入した。学部4年次から大学院科目の履修ができ、リベラルアーツ教育を基盤としながら、専門性を段階的に深めていく。

記者懇談会では、同プログラムが「4年間では学び足りない」「より深く専門分野を探究したい」という学生の意欲に応えてきた点が強調された。これまでに250名以上が本制度を活用して大学院に進学しており、研究者志向の学生だけでなく、専門性を生かして社会に出る学生も多い。修了者の進路は、外資系企業、IT、メーカー、金融、教育、公共分野など多岐にわたり、学際的な学びが多様なキャリア選択につながっている実態が示された。

今年10月、文部科学省は学部・修士を5年間で修了できる一貫教育を2026年度から制度化する方針を示した。高度専門人材の育成を目指した大学院進学の促進を目的とする施策だが、ICUは実に10年以上前から同様の教育モデルを先行して実践してきたことになる。

ICUが国策に先んじて長期に渡る運用を通じて得てきた教育効果や課題への対応ノウハウは、国の教育制度設計に対し実績あるモデルケースのひとつとして注目される。