東京理科大が新学部、新学科の構想を発表
写真=記者会見で説明する石川正俊学長
東京理科大が5月22日に記者会見を行い、2031年の創立150周年に向けた構想を発表した。
会見で石川正俊学長は、情報系分野を担うデジタル人材の育成をミッションに掲げた。「社会の変革を牽引してきたのは科学技術。東京理科大学は『理学の普及を以って国運発展の基礎とする』という建学理念のもと、日本の科学技術をリードしてきた。情報人材の育成が強く求められる現在、今後は理科大が日本の情報教育をリードしたい」と意気込みを語った。
その一環として2年後の2026年4月、「創域情報学部」が千葉県の野田キャンパスに開設される。進歩の速い情報系分野の発展を加速させ、情報系以外の最先端分野とも広く共創して、真のイノベーションと革新的技術を世界に発出していくという。
新学部には「情報理工学科」の1学科が置かれ、コンピューティング系の「コンピュータ科学コース」「知能メディアコース」、データ分析・運用系の「データ科学コース」「社会システムコース」の4コース制となる。
「創域」を冠する学部は既に、同じ野田キャンパスを拠点とする「創域理工学部」がある。「創域」という言葉には、「科学と技術に新たな領域を創る」「既存のものに新たな価値を創出する」という意味が込められているという。共通の「創域科目」や学生主体のプロジェクトである「研究会」、分野を横断した研究を行う「ダブルラボ」などで両学部が連携し、「創域」を実現していく考えだ。
また同じく2026年4月、理学部第1部に「科学コミュニケーション学科」が新設される。同学部は東京・新宿区の神楽坂キャンパスと拠点とし、同大のルーツとも言える学部だ。これまでに多くの研究者、技術者、理数教員を輩出してきた。
情報があふれるデジタル社会では、その真偽を見極め、社会的課題を解決することが求められている。また科学技術は、人々の安心安全と幸せの実現につながるよう活用されなければならない。こうした認識のもと新学科では、高度な科学を広く一般に伝える能力を持つ人材を育成する。そのため、科学を俯瞰的にとらえ、科学的な視野を的確に表現するスキルを養成する授業科目を充実させる。新学科では新たな視点から、建学の理念にうたわれる「理学の普及」を具現化していく。
東京理科大にはほかにも、葛飾キャンパスの工学部にも「情報工学科」という情報系の学科がある。どのキャンパスにおいても情報系分野を担うデジタル人材の育成が可能であることが同大の強みになるかもしれない。