大妻女子大学の学生らが考案した「着物用バッグ」が実用新案登録 — 被服学科・中川麻子准教授のゼミが制作、商品化を推進中
大妻女子大学(東京都千代田区)家政学部被服学科の中川麻子准教授(染色デザイン研究室)と塩崎(崎の字は立つ崎)美里助手および同ゼミ生らが考案した、着物をしわになりにくい状態で簡単に運搬できる着物用バッグが、2022年11月に実用新案登録(実用新案登録第3240111号)された。実用新案登録とは、物品の形状や構造についての考案を保護するもので、登録されることでその考案を独占的に実施する権利が得られる。学生らの考案した着物用バッグは現在、商品化に向けて準備が進められている。
この着物用バッグは、2019年1月に当時のゼミ生が考案した「女子大生が持ちたいゆかたバッグ」が基になったもの。ゆかたバッグのアイデアを高島屋のMD(マーチャンダイジング)本部に持ち込んだことがきっかけとなり、客層や価格帯を考慮し、大事な着物を安心して運搬できる高級感のある着物用バッグの企画へと繋がった。
従来の着物用バッグには、着物がしわになりやすい・運搬が困難・洋装に合わないといった課題があったが、これらをクリアすべく中川ゼミの中で話し合いや試作、実験、着物愛好者へのインタビュー調査を行い、サイズ感・デザイン・着物の収納方法の改良を重ねた。
試行錯誤を経て完成した着物用バッグは、内袋と外袋が上部でのみ繋がる二重の吊り構造にするなど、着物の固定方法に工夫が施されており、しわ防止効果を高めている。
また、持ち運びにくさの問題は、柔らかな素材でバッグが身体に添いやすくし、かつ、手提げ・肩掛けの2種類の持ち方が可能で長さ調整もできる持ち手をつけることで解決。女性が腕を下ろしたときに脇に収まるように、上部は薄く、幅もスリムにした。
着物と長襦袢、草履を収納してもかさばらず、重さが肩で分散する形状で、電車・徒歩・階段などの移動の際もコンパクトで持ちやすく、年齢を問わず使えるデザインの着物用バッグが誕生した。
中川准教授は「着物が好きなゼミ生を中心に、全員でアイデアを出し合い、試作を繰り返して完成しました。被服構成、繊維素材、デザイン、マーケティングを総合的に学んだ被服学科の学生ならではの着物用バッグです。今後も大学の学びを活かした商品企画やデザイン制作を行っていきたいと考えています」とコメント。
また、塩崎(崎の字は立つ崎)助手は「ゼミ生と共に沢山の案を出し合って作成してきました。こだわりの詰まったこの着物用バッグが商品化される日が楽しみです」と話している。
なお、このバッグは現在、商品化に向けて準備が進められている。