横浜商科大学の授業「料飲店のマネジメント」で信楽町からのオンライン講義を実施 — 観光地としての信楽の魅力と飲食店経営の両方を学ぶ

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横浜商科大学の授業「料飲店のマネジメント」で信楽町からのオンライン講義を実施 — 観光地としての信楽の魅力と飲食店経営の両方を学ぶ

横浜商科大学(横浜市鶴見区)商学部観光マネジメント学科・竹田育広教授の授業「料飲店のマネジメント」において、同大で初の試みとなる地域と結んだオンライン講義が行われた。これは、同学科の教育改革構想に沿った取り組みの一環で、昨年11月22日には滋賀県立陶芸の森(滋賀県甲賀市)から、銀俵株式会社代表取締役の能登正太郎氏が登壇。同社では、信楽焼の特製羽釜で炊き上げたご飯をメインに、塩や醤油、味噌といった調味料にこだわった料理を提供している。飲食店経営に携わっている能登氏が、観光地としての信楽の魅力と飲食店の経営について語り、学生との質疑応答も行われた。

今回の講義では最初に、信楽町観光協会の動画を視聴し街や観光情報について理解を深めた。滋賀県南東部の甲賀地方に位置する同町は日本六古窯の一つに数えられ、2017年には「日本遺産」に認定されている”信楽焼”で有名な陶芸の街であり、現在でも多くの窯元が軒を連ねている。

また、信楽焼だけではなく、日本最古の銘茶である朝宮茶の産地、自然豊かで古き良き街並みなど、歴史ある街ならではの魅力を持っている。

能登氏は、「普段使っている食材が何からできているのか?」「その食材が日本にあるにもかかわらず、輸入に頼るのはなぜなのか?」など、食事におけるさまざまな矛盾に気づき、日本の食材・食文化の素晴らしさを伝えたいという思いから飲食店の経営を始めたという。そのため同社では、「作り手と使い手をつなぐこと」「食文化を紐解いて新たに構成する」ことを使命としており、近隣の農家と連携して信楽近郊でとれた旬の野菜を提供している。


講義では質疑応答の時間も設けられ、能登氏は学生からの質問に下記のように回答した。


【Q.1】平均価格が1,500円、学生としては高い価格設定に感じますが、価格に相当する接客をどのように提供しますか?
【A.1】一食約1,500円のメニューを提供するにあたり「自分がお客様だったらどのようなサービスを提供されたいか?」「作業ではなくサービスにしよう」という2つのことを心がけています。例えば、鯖の定食をお客様へ出すのにポンっと置いてしまったら、それは食事を出すという作業になってしまいますが、「焼きたてです!」「熱いのでお気を付けください!」「お待たせしました!」と伝えることで商品価値を高めるサービスにすることができます。


【Q.2】コロナにより飲食店はテイクアウトの需要が高まりましたが、これからもこの需要は伸びるのでしょうか?私の考えとしてはお店で食べること、空間としての付加価値が高く、コロナが落ち着いたらテイクアウトは減少するのではないかと思うのですが。また、飲食店を経営する上で一番大切なことは何ですか?
【A.2】店内で食べる方が良いと思う人もいれば、購入した物を外で食べるほうが良いと思う人もいます。テイクアウト需要については、それぞれのニーズによる影響が大きいので、どちらが伸びるとは一概に伝えることが難しいですね。飲食店経営をする上で大切なことは、「作り手と使い手をつなぐ」という役割を担う上で、化学調味料を使わず、良い素材、安全な食材を使って「美味しい」を生み出すことが大切だと思います。


【Q.3】昔からある食事や食材を次の世代に継承するにあたり、意識していることはありますか?
【A.3】例えば、お味噌汁と一口に言っても、さまざまなスタイルがあると思います。銀月舎で提供している豚汁は、大きな角煮、大根、こんにゃく、ニンジンがごろごろと入っていて、崩しながら食べてもらうようなスタイルで、刺激をトッピングしてオリジナリティを訴求しています。


全国には観光地のPRに困っている地域が多く存在しており、横浜商科大学観光マネジメント学科では今後もそうした自治体や観光関連企業と連携しながら、学生と地域・企業を繋ぐ講義を展開していく。


≪料飲店のマネジメント≫
現代におけるフードサービスビジネスについて、経済、経営、社会、環境といった多面的な視点から専門知識を学ぶ科目。食品産業、カフェ、レストラン経営など「食」に関わる業種・企業を進路として考えている学生や、飲食をメインとした観光(旅)に関心がある学生などが主に履修している。