社会で活躍する道を切り開く女子大の学び
理系学部の新設で選択肢に広がり
女性のために編成されたカリキュラムで学び、女性の自己実現を手厚くサポートする体制が整った女子大は、女子受験生にとって魅力ある選択肢だ。女性の採用を前提として求人が寄せられるため就職率は良好で、女性が活躍できる企業への就職も期待できる。しかし、女子大のメリットはそれだけではない。
「世界経済フォーラム」による男女間格差の国際比較「ジェンダーギャップ指数」のランキングにおいて、日本は156カ国中120位(2021年)と、先進国最下位レベルとなっている。政治参画や経済参画の面で、女性の活躍が著しく低いからだが、“女性はこうあるべき”という無意識の観念=アンコンシャスバイアスが社会通念として存在することが指摘されている。
その点、女子大では、女性は常に中心的存在となり、男性を意識する必要がない。少人数制を基本とする教育環境の中で、一人ひとりが教職員から大切にされ、自分の可能性を発見し、学ぶことを通して自己肯定感を育むことができる。社会に出る前に、女性だけの環境で過ごす4年間は、ジェンダーギャップから解放され、一人の人間としての生き方を模索できる貴重な期間でもある。女性のリーダーシップ育成も、女子大の教育成果のひとつだ。
女子大に多い教育分野は、職業教育に重点を置いた専門職の養成と、視野を広げ深い教養を身につけるリベラルアーツ教育に大別される。専門職養成では、小学校教諭、幼稚園教諭、保育士、管理栄養士、看護師、薬剤師などの職業に直結した国家資格を目指す。リベラルアーツ教育では、高い専門性と豊かな知性を培い、人間の本質について深く思考する教育が行われる。いずれの分野も、自信を持って社会へ羽ばたく自立した女性の育成が目標だ。
さて、23年度以降の女子大の変更点をあげておこう。
学部の新設では、理系分野の設置が注目される。共立女子大が建築・デザイン学部、京都女子大がデータサイエンス学部*を開設予定。24年度は、日本女子大が建築デザイン学部*の開設をめざす。現在、工学系学部に女子学生の占める比率は15%と低いが、女子の進路は文系が中心という無意識の思い込みから進路を選択している可能性もある。女子大が理系学部を増設することで、女子の理系志向がより高まることを期待したい。この他、23年度には日本女子大が国際文化学部、東京家政大が児童学部、京都ノートルダム女子大が学部等連係課程制度による社会情報課程、千里金蘭大が栄養学部、教育学部、武庫川女子大が社会情報学部、心理・社会福祉学部を開設予定だ。
一方、23年度から共学に変わるのは、神戸親和女子大と鹿児島純心女子大で、それぞれ神戸親和大、鹿児島純心大へと名称を変更する。
*は仮称、設置構想中