教育力が高い大学ランキング2021(全国編)
写真=東京大学
多くの受験生が迷うのが志望校選び。そこで頼りになるのがエキスパートの意見だ。全国の進学校2000校に、進路指導教諭おすすめの大学についてアンケートを行った。各項目5校連記で大学を記入してもらい、最初の大学を5ポイント、次の大学を4ポイント…として集計しランキングを作成した。今回は「教育力が高い大学ランキング(全国編)」だ。
1位は東京大学で348ポイント。同大では、人類が抱える大きな課題に積極的に取り組む人材を育てるため、未知と向かい合い、問いかけ、知ろうとする「対話」と「共感」を重視。学部段階では「自ら原理に立ち戻って考える力」「忍耐強く考え続ける力」「自ら新しい発想を生み出す力」の3つの基礎力を涵養し、対話力に優れたプロフェッショナルの育成を目指す。同大の学部教育の特色は「遅い専門化(Late Specialization)」と「早期学習経験(Early Exposure)」にある。入学時に専門を決めず、教養課程の2年間、リベラルアーツ教育を通して人格形成をしながら、専門分野をじっくり選んでいく。また、前期課程の全学生必修の「初年次ゼミナール」は、20人程度の少人数制で、学生の主体的な学びを促し、能動的な学習を支援する体制が整えられている。
2位は東北大学で287ポイント。同大では、デジタルトランスフォーメーションによる社会の転換期に対応し、AI・数理・データサイエンスを特に重要であると位置付けて、全学部性を対象に「AIMD教育」を展開している。AIMDはAIとMath(数理)、Data Scienceの頭文字を取ったもの。文理を問わず、学生全員が卒業時までに持つべきデータ・AIリテラシーを学び、実践体験を行う基礎的な「AI & Data for All」から、社会に出て各分野でデータ・AIの専門家として働くための技能を修得する「Specialists with AI & Data」、世界トップレベルのデータ・AI研究分野のリーダーとなるための「AI & Data Top Learders」まで、学生の希望に応じて一貫したカリキュラムを提供。データ科学実践、AI活用、計算機科学、数理の各分野で基礎的な内容から高度な分析・活用まで学ぶことができる。
3位は京都大学で242ポイント。開学以来の「自重自敬」の精神の下、自由な学風に基づいた「対話を根幹とした自学自習」の教育・研究を展開してきた同大は、2022年に創立125周年を迎える。そのスローガンは「京大力、新輝点。」。開学時の原点に立ち返り、「教育・研究支援体制の再構築」「人材多様性の確保」「財政基盤の強化」の3つビジョンを示した。そのうち教育の核となるのは、入学後すぐに全学部で行われる、国際高等教育院による「教養・共通教育」だ。2021年度は897科目が開講。「キャリア形成」「人文・社会科学」「自然科学」「健康・スポーツ科学」「外国語」「統合科学」「情報学」「少人数教育の8つの科目群から、文理や専門を問わず学部を越えて履修でき、専門科目を学ぶ前、あるいは専門科目と並行しながら、知力や教養、言語力を磨くことができる。
<表の見方>
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全国の約2000進学校を対象にアンケートを行い、739校から回答を得た。各項目ごとに5校を選んで順位をつけてもらい、1番目の大学を5ポイント、2番目を4ポイント……として集計した。
※印は国立、◎印は私立、無印は公立を表す。