小規模だが評価できる大学ランキング2020(九州編)
写真=九州工業大学 超小型人工衛星組み立ての様子(学生プロジェクトチーム)
多くの受験生が迷うのが志望校選び。そこで頼りになるのがエキスパートの意見だ。全国の進学校2000校に、進路指導教諭おすすめの大学についてアンケートを行った。各項目5校連記で大学を記入してもらい、最初の大学を5ポイント、次の大学を4ポイント…として集計しランキングを作成した。今回は「小規模だが評価できる大学(九州編)」だ。
1位は九州工業大学で59ポイント。1907年設立の明治専門学校を前身とし、110余年の歴史を持つ同大は、北九州の地で技術者教育とそのための研究活動を実践してきた。初代総裁・山川健次郎が謳った「技術に堪能なる士君子」の養成を建学の理念とし、現在は工学部と、国立大では唯一の情報工学部において「航空宇宙」「IoT/ロボティクス」「環境エネルギー」などの重点分野を定め、より先端的な研究を推進。キャンパス内への民間企業の研究室設置や海外大への長期的な研究留学など、学内外で幅広い研究ができる環境を整えている。また、学生の自主的な研究意欲を支援する「学生プロジェクト」では、最大200万円の活動資金を用意し、ロボコン出場やアプリ開発、人工衛星の打ち上げまで、さまざまなプロジェクトで学生の研究力を高めている。
2位は立命館アジア太平洋大学で47ポイント。開学時に「学生の50%を留学生に、出身国を50カ国・地域以上に、教員の50%を外国人に」という構想を打ち出し、2000年に大分県別府市に誕生した。実際、開学20周年を迎えた2020年には、5745人の学生のうち、留学生の割合が約50%、在学生の出身国・地域は約90、開学以来の総数は155カ国・地域に上っている。海外協定大学・機関数も485を数え、全国の大学でも有数な多様性に富んだ教育環境となっている。この多様な文化を日常とする同大では「ピア・ラーニング(協働学習)」を重視。これは、言語や文化の異なる学生たちが互いに教え合いながら成長する仕組みであり、先輩学生が後輩学生の学びを深めるためのサポートを行うほか、ティーチング・アシスタントとしても活発に活動している。
3位は福岡女子大学で26ポイント。4位には福岡工業大学が23ポイントで続く。工学部、情報工学部、社会環境学部の3学部からなる福岡工業大学は、国や地域、産業界における課題を的確に把握し、実社会のニーズに対応した研究活動を推進している。その研究成果は社会に還元されるだけでなく、近年では研究助成採択実績の継続的向上として結実している。その一つが、情報工学部がオリンパス社などと取り組む、内視鏡手術をAIが支援するシステムの開発だ。日本医療研究開発機構(AMED)の技術開発事業に採択されたプロジェクトで、同大のほかに大分大学、国立がん研究センター東病院、東京大学が参画。大分大学とは包括連携・協力協定を締結し、産学連携の活性化や国内外における未来医療の発展への貢献が期待されている。
<表の見方>
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全国の約2000進学校を対象にアンケートを行い、910校から回答を得た。各項目ごとに5校を選んで順位をつけてもらい、1番目の大学を5ポイント、2番目を4ポイント……として集計した。
大学名の◎は私立、※は国立、無印は公立を表す。