入学後、生徒を伸ばしてくれる大学ランキング2020(東京編)
写真=東京理科大学
多くの受験生が迷うのが志望校選び。そこで頼りになるのがエキスパートの意見だ。全国の進学校2000校に、進路指導教諭おすすめの大学についてアンケートを行った。各項目5校連記で大学を記入してもらい、最初の大学を5ポイント、次の大学を4ポイント…として集計しランキングを作成した。今回は「入学後、生徒を伸ばしてくれる大学ランキング(東京編)」だ。留学についての記述は、普段の取り組みを取り上げた。コロナ禍で海外への出入国が制限されている。各校の措置については別途ホームページなどを確認して欲しい。
1位は東京大学で195ポイント。2位には東京理科大学が158ポイントで続く。
東京理科大学の起源は1881年に設立された東京物理講習所に遡り、東京物理学校を経て、私学随一の理工系総合大学へと発展。建学以来受け継ぐ「実力主義」の伝統のもと、卒業生は研究者、技術者、理数系教員として、国内外の科学・技術の発展に貢献してきた。また、大手メーカーを中心に著名400社※1への就職率は全体の38%にのぼり、大規模大学の中では常に上位の実就職率※2をキープしている。伝統的に教員や公務員になる学生も多く、各種対策講座や模擬試験などのサポート体制も万全だ。近年はAI人材育成にも力を入れ、学部横断型の「データサイエンス教育プログラム」を2019年度から全学的に実施するなど、現代社会に求められる高い資質を持つ人材の育成に取り組んでいる。
※1 著名400社は、日経平均株価指数の採用銘柄に加え、会社規模や知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に大学通信が選定。
※2 実就職率は、就職者数÷(卒業者数-大学院進学者数)×100で算出。
3位は慶應義塾大学で48ポイント。同大の教育目標は、創立者・福澤諭吉が謳った「独立自尊」のもと、知識を広く浅く習得することではなく、正課と課外、教養と専門のバランスのとれた教育によって、社会のさまざまな分野で活躍する、総合力を備えた人材の育成。学部を越えて履修可能な総合教育科目や、課外学習プログラムを用意するほか、交換留学、2つの大学から学位を取得できるダブルディグリー・プログラム、外国語で履修可能なコースなどを多数設置し、多様な学びを提供している。また、学生、教職員、卒業生など、同大に関係する人たちを「社中」と称し、互いに協力し、同大の社会的使命の達成に努力する「社中協力」の伝統がある。その精神は、学びの志を経済面から支える奨学金制度の創設や、研究環境に生かされている。
4位は国際基督教大学で41ポイント、5位に東京工業大学が39ポイントで続く。
東京工業大学は、2016年に日本の大学で初めて、学部と大学院を統一した「学院」を創設。学士課程と修士課程、修士課程と博士課程の教育カリキュラムを継ぎ目なく学修できるようになり、入学時から大学院まで、出口を見通した上での多様な選択が可能になった。理学院、工学院、物理理工学院、情報理工学院、生命理工学院、環境・社会理工学院の6つの学院は、それぞれいくつかの「系」から成り立つ。系には入学後2年目から所属し、修士課程以降は「コース」を選択して専門性を深める。また、同大には人文社会系の教養教育に注力してきた伝統がある。その理念を象徴する「リベラルアーツ研究教育院」では、学士課程から博士後期課程までの教養教育と専門教育を有機的に連携させている。この「くさび型教育」も同大ならではの学びの特徴である。
<表の見方>
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全国の約2000進学校を対象にアンケートを行い、910校から回答を得た。各項目ごとに5校を選んで順位をつけてもらい、1番目の大学を5ポイント、2番目を4ポイント……として集計した。
大学名の◎は私立、※は国立、無印は公立を表す。