入学後、生徒を伸ばしてくれる大学ランキング2020(全国編)
写真=東北大学
多くの受験生が迷うのが志望校選び。そこで頼りになるのがエキスパートの意見だ。全国の進学校2000校に、進路指導教諭おすすめの大学についてアンケートを行った。各項目5校連記で大学を記入してもらい、最初の大学を5ポイント、次の大学を4ポイント…として集計しランキングを作成した。今回は「入学後、生徒を伸ばしてくれる大学ランキング(全国編)」だ。
1位は東北大学で322ポイント。同大は、2020年3月にタイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)が発表した「世界大学ランキング日本版2020」で第1位を獲得。その教育力は世界からも注目を集めている。特に、2019年からスタートした「挑創カレッジ」では、未来社会に向けて備えるべき現代的リベラルアーツの素養を磨く。「グローバルリーダー育成」「コンピュテーショナル・データサイエンス」「企業家リーダー育成」の3つのプログラムがあり、データサイエンス関連は文理を問わず全学生必修だ。また、2021年度入試(2021年4月入学)から受験生の意欲や挑む心に応えるAO入試(総合型選抜)をさらに拡大。これは、基礎的な学力に加え、思考力・判断力・表現力、主体性等を重視して総合的に評価するもの。同入試で不合格でも、一般選抜で再チャレンジできることも、受験生には心強い。
2位は金沢工業大学で214ポイント。3位には東京大学(195ポイント)が続く。金沢工業大学は、独自の問題発見課題解決型教育「プロジェクトデザイン教育」を柱に、社会と連携した教育活動を行ってきた。その中でも特徴的なのが、学生が企業と雇用契約を結び、社員として実際の業務をしながら学ぶ「コーオプ教育」だ。2020年からはNTT西日本とデータサイエンス分野での協力を始め、第一線で活躍するデータサイエンティストによる寄付講座の後、2人の学生が選抜された。コーオプ教育がインターンシップと異なるのは、学生が社員として企業と契約し、給与を受け取って企業内で活動すること。より実践的な力が必要となり、学生にとって大きく成長できるチャンスだ。このほか、3Dプリンタなど最新の設備を配した「夢考房」や「Challange Lab」など、学生の意欲を刺激し、学生主体の学びを促す環境や仕組みが用意されている。
4位には東京理科大学(158ポイント)がランクイン。私学随一の理工系総合大学として「実力主義」を掲げる同大が力を入れているのが「初年次教育」である。2008年からGPAを指針とした入学後の学力調査を継続して行い、1年次終了時と卒業時のGPAに高い相関があることに注目。そのため、一般選抜以外の入試による入学者には「入学前学習支援講座」を開講するほか、新入生に数学、物理、化学、生物、英語(TOEIC-IP)のアセスメントテストを実施し、クラス分けや学修指導に活用している。さらに、「学修ポートフォリオシステム」による学修到達度の可視化、研修を受けた2年次以上の学生が教える「学修相談室」、論理的な文章を書く力を育成する「ロジカルライティング講座」など、大学で専門的に学ぶための基礎力をしっかり身につけ、学生が4年間で確実に成長するためのサポート体制が整えられている。
<表の見方>
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全国の約2000進学校を対象にアンケートを行い、910校から回答を得た。各項目ごとに5校を選んで順位をつけてもらい、1番目の大学を5ポイント、2番目を4ポイント……として集計した。
大学名の◎は私立、※は国立、無印は公立を表す。