小規模だが評価できる大学ランキング2020(全国編)
写真=アカデミック・アドバイジング・システム(写真提供:国際教養大学)
多くの受験生が迷うのが志望校選び。そこで頼りになるのがエキスパートの意見だ。全国の進学校2000校に、進路指導教諭おすすめの大学についてアンケートを行った。各項目5校連記で大学を記入してもらい、最初の大学を5ポイント、次の大学を4ポイント…としてランキングを作成した。今回は「小規模だが評価できる大学(全国編)」だ。
トップは国際教養大学の342ポイント。2004年の開学以来、徹底した少人数教育を行っている。1科目あたりの平均登録学生数は1クラス18人。専任教員1人当たりの学生数は14人。学生数が20人未満の授業比率は68%。50人以上の授業比率に至っては、わずか2%だ。少人数教育だからこそ、教員と学生のコミュニケーションの機会が増える。その中で、自ら考え、意見を主張できる能力を磨いていくことを目的としている。また、独自の「アカデミック・アドバイジング・システム」を設置。学生一人ひとりに専任のアドバイザーが割り当てられ、学業に対する様々な問題について相談し、アドバイスを受けることができる。このような制度がある背景には、同大が課す厳しい学業基準がある。厳しい基準を課すだけではなく、それを乗り越えるためのサポート制度についても周到に準備されている。
2位は武蔵大学の212ポイント。近年の動きで注目すべきは、2015年4月から経済学部で開始された、ロンドン大学と武蔵大学とのパラレル・ディグリー・プログラム(PDP)だ。PDPは、武蔵大学に通いながら、ロンドン大学の学位が取得できるプログラムで、日本初の導入となる。授業の難易度は高く、1日3~4時間の予習が必須。世界水準の経済学を英語で学ぶため、英語力はもちろん、数学の素養も求められる。昨年は、同プログラムから、4人の学生がロンドン大学のBSc in Economics and Managementの学位を取得した。21年度は、学位取得者が10人前後に増えていくことを見込んでいる。またPDPは2022年4月に設置を構想している国際教養学部(仮称)の経済経営学専攻に移行する予定だ。これを契機に、プログラムの一層の拡充を目指す。
3位は国際基督教大学の168ポイント。専任教員1人当たりの学生数は20人。少人数教育を貫いている理由は、同大が掲げる「リベラルアーツ教育」にある。授業は講義形式ではなく、ディスカッションや対話を中心に進められる授業が多い。そのため学生は授業に参加するに当たって、文献の読み込みなどの予習を欠かさず行う必要がある。また、教員は原則1週間に最低2時間は、オフィスアワーを設けている。学生はこの時間を活用して、教員に授業内容の質問や専門分野に対する助言を求めることができる。
今回紹介した、3大学に共通するのは、「学業に対して真摯に向き合う姿勢」が求められていることだ。授業に向けた予習の徹底、少人数教育だからこそのコミュニケーション重視の授業を通して、学生は自ら考え、自分の意見を相手に伝える力を身に着けることができる。また、学業に真剣に打ち込んだからこそ、高校時代と比べ、物の見方や価値観が大きく変わることもあるはずだ。4年間を通して、厳しいながらも、刺激的で成長が実感できる学生生活を送ることができるのではないだろうか。
<表の見方>
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全国の約2000進学校を対象にアンケートを行い、910校から回答を得た。各項目ごとに5校を選んで順位をつけてもらい、1番目の大学を5ポイント、2番目を4ポイント……として集計した。
大学名の◎は私立、※は国立、無印は公立を表す。