クラブ・サークル経験を生かし
目指す内定に向かって ── GO!!

キャリア・就職 斎藤幸江
クラブ・サークル経験を生かし 目指す内定に向かって ── GO!!

クラブ・サークル活動は、「ガクチカ」のネタの宝庫といわれる。頑張ったことで得られた経験を磨き、就活でアドバンテージを得よう。

立派な成果は必要ない 自分らしさを語ればいい

クラブやサークル活動をしてきたけれど、それをどうアピールに生かせばいいかと迷ってはいないだろうか。

役職に就いていなかった、試合成績がよくなかった、特に自慢できるような成果が出せなかったなど、「むしろ、ふれないほうがいいかも」と心配する人もいる。一方で、いい結果を示せたけれど、それをどうアピールに磨き上げればいいかがわからないというケースもある。

せっかく頑張ってきたクラブ・サークル活動。その経験を評価につなげないのはもったいない話だ。過去や現在から自分の強みを見つけ、さらに残された活動期間内で強みの向上を図っていこう。

ところで、クラブやサークル活動には、試合や発表の場がある。そこでは成果や勝ち負けが重視されるので、どうしてもその部分にこだわりたくもなる。

だが、就職活動時のアピールは、活動中のあるシーンで何を考え、どう行動したかをきちんと説明できれば充分で、レベルや勝敗は問われない。クラブやサークルに対する取り組みで発揮された、「その人らしさ」を話してほしいというのが採用側のニーズだった。

こんな話もある。採用担当者に「小さい頃からずっとサッカーをやってきましたが、そんなに強い選手にはなれませんでした。企業はどのレベルなら評価するんですか?」と聞いた学生がいた。これに対して採用担当者は、「当社の募集要項には、サッカー経験者を募集しているとは記されていませんよ。ウチの仕事にサッカーのスキルは重要ではありませんから」と答えたという。

求められているのは、到達レベルや試合の結果ではない。目標の設定や達成のために実践した取り組み、及び結果に対する自分なりの分析という視点だ。成果が思わしくなかった場合には、課題を発掘してまとめていけばいい。

自分の強みを知るためにPDCAサイクルを応用

同じ活動を長く続けている人ほど、自分のやり方が当たり前になり、どうやって行ってきたかの自覚がもちにくくなる。恒常的に努力してきたのに、その自覚のなさから、「粘り強く頑張った」の一言で済ませてしまうケースがある。そこで頑張った「具体的な中身」に目を向けるため、今までの経験をPDCAサイクルで振り返ってみよう。

PDCAサイクルとは業務を管理する際に用いられる手法だ。Pは「計画= Plan」、Dは「実行= Do」、Cは「評価= Check」、Aは「改善= Action」を表し、このサイクルを繰り返すことで、改善やさらなる目標の達成につなげていく。下段に、PDCAサイクルを活用した振り返りの例を示した。

新しい楽器に挑むという未経験の活動に挑み、自分なりに工夫して身につけていった例だが、サイクルからこの人にはチャレンジ精神があることがわかる。

また、他人からアドバイスを求めたり、人の演奏を聴くなかで新たな課題を見出したりしているので、柔軟性や向上心にも富んでいることがうかがえる。このPDCAサイクルを使って分析すると、自分なりの努力の仕方という強みが把握しやすくなる。それでもつかみにくかったなら、他の部員と比較し、努力の内容がどう異なるのかを検証しよう。

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PDCAサイクル 例:未経験だったクラリネットを演奏会で演奏

引退までの期間を使って自分の強みを強化する

PDCAサイクルを利用し、物事をするときにどんな力を発揮しているかを分析する際、「社会人基礎力」が役に立つ。 社会人基礎力とは、経済産業省が新卒採用企業を対象に調査し、それをもとに新卒人材に必要な力をまとめたものだ。

クラブ・サークルでの活動内容を「技術の向上」、「部(サークル)の取りまとめ」などに分類し、それぞれPDCAサイクルのチャートを作成したうえで、どの基礎力を発揮できたのかを分析すると、自分の強みが理解しやすくなる。

なお社会人基礎力は、ひとつを伸ばすと他の能力も向上できるといわれている。 さて就活力を高めるため、引退までに何をすべきか。PDCAサイクルをさらにまわす実践を重ねていけば、自分の強みの再確認や強化に加えて、新たな力も身につけることもできる。

そのためには残りの時間で何を実現したいかと問い、どんな力を使い、どのように達成させるかを考えていこう。クラブ・サークル活動には、部員や卒業したOBを含め、多彩な人に出会えるというメリットもある。

そんな彼らに、あなたの印象を聞いてみよう。その際には仲のよい人や自分のことをよく知っている人だけでなく、たまに訪れる卒業生や、普段あまり会話を交わさない部員などからもコメントを求めるといい。接触が少ないからこそ特に印象に残る部分を指摘してくれたり、タイプがちがうゆえに、逆に見えてくる特徴があったりもするからだ。

性格診断やエントリーシートで、自分について他人にコメントしてもらうよう求めてくる企業も増えている。将来につながる的確な評価をしてくれる人を探すなら、やはりクラブやサークルが最適だ。

クラブやサークル活動では、あなたの特徴を発揮した機会が数多くあったはずだ。行動を分析して振り返ったり、様々な人の視点を借りたりして、幅広い角度から強みや可能性を探ってほしい。

自分にはどんな強みがあり、どのように使っているかを実感することで日々の自信につながり、就活への不安を軽減できる。そしてクラブやサークルで身につけた力は、仕事の現場でも役立つ。社会人になる準備だと考えて、これからの活動にも主体的に取り組んでいきたい。

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社会人基礎力 3つの能力と12の能力要素