混乱も予想される21年就活の歩き方
斎藤幸江の就職ウォーミングアップ講座01
STEP2. 選考を乗り切る
インターン参加者限定の優先選考への対処法
ここからは、採用選考での注意点にふれていく。 近年、インターンシップの参加者を優先して採用選考する企業が増えている。こうした優先選考では、早ければ年明け前後から呼び出しがかかる。そして、そこでの評価が高ければ、年度が明ける前に最終面接にたどり着くこともありうる。
優先選考で「ウチにきてくれるなら、内定を出しますよ」といわれても、入社の1年前に気持ちを固められる学生は少ない。こういうときは臆せず、「納得ゆく就職活動をして、最終的に結論を出したい」と申し出よう。ほとんどの企業で活動の継続を受け入れてくれるはずだ。
公務員を志望するキミも企業面接は受けよう
公務員志望者のなかには、本番の筆記試験まで面接対策を一切やらない人もいる。しかし、最近はどの公務員試験も人物重視になり、面接の比重が非常に高くなっている。
初めての面接が第一志望というのは、あまりにリスクが高い。自治体や国から受託して業務を行っているなど、公共事業と接点のある民間企業を探し出して、就職活動を一度経験しよう。
選考の練習だけでなく、公共事業をちがった視点で見直すことができる。志望先を広げるきっかけにもなるだろう。
採用選考の重複にご用心どう対応するべき?
採用選考がピークを迎えると、同一日程で面接が重なることもしばしばだ。その場合、選考のステップが進んでいない企業のほうが、変更を受け入れてもらいやすい。最終面接は地位の高い役職者の日程を調整して決められるので、調整が難しい。
それよりは、一次、二次面接のほうが、柔軟に対応してもらえる。自分の志望度だけではなく、各企業における進捗状況を見極めて、変更をお願いしてみよう。
さて、本番前にあと一回、面接の練習がしたい、プレゼンテーションをチェックしてほしいなど、選考のピークにアドバイスがほしくなったら、迷わずキャリアセンターを利用しよう。
このような時期は、早くから予約で埋まっていることがほとんどだ。反面、採用選考が急に入ったり、就職活動を頑張り過ぎて体調を崩したりなどの急なキャンセルが起こりやすい。ダメ元で当日や直前に空きがないかを問い合わせてみよう。
STEP3. 就職に備える
こんなの聞いてないよ!? 内定後に問題が浮上
内定や内内定が出た後に、企業から研修を求められることがめずらしくない。数は少ないが夏休みにアルバイトや研修を行うところや、内定式前後に宿泊型の研修を実施したり、10月以降にeラーニングの受講を命じたりするところもある。
卒論や卒研に支障が出る内容を要求された場合は、必ず大学のキャリアセンターや新卒ハローワークに相談しよう。また、内定後の説明会などで、初めに聞いていた雇用条件と異なる不利益な提示があったりした場合も、躊躇せず相談したい。
希望はいったん飲み込み配属先に固執しない
企業によっては、内定後に配属面接を実施するところもある。この場合、自分の希望にあまりに固執するのはよくない。 また、自分の願いを企業に伝えたとしても、「最初の2年間は別の部署で頑張ってもらい、望む配属はその後」と告げられればそれまでだ。
仕事は実際に働いてみないとわからない。就職活動時の情報やそこから得たイメージだけでは、志望の仕事を美化し過ぎてしまうものだ。強くこだわったのに、実際に就いてみたらイメージとちがうことはよくある。
配属面接で希望と異なる配属先を示されたら、「なぜ、その部署(仕事)をすすめるのですか? 私のどんなところがそこに向いているのでしょう?」、あるいは、「その仕事を通じて、私は、将来、どんな人材になれますか?」と積極的に質問しよう。そこから自分の誤解に気づいたり、新たな可能性に出合えたりもするからだ。
ここまで就職活動の留意点を述べてきた。活動は内定がもらえれば終了というわけではなく、それ以降は、自分の社会人像を少しずつ固めていきたい。なりたい自分をもてれば、新たな目標も見出せる。入社後の不安を軽減するためにも、社会人像を確立しておこう。
- 斎藤幸江(さいとう ゆきえ)
就職・採用アナリスト。就職情報会社勤務後に独立。現在は、キャリア教育、就職支援、採用・育成支援をテーマに、大学などで授業科目・セミナーの講師、カウンセリングを手がける。雑誌への寄稿にも積極的で著書多数。近著に『キャリアデザインの教科書』(共著 労働調査会発行)。国家資格キャリアコンサルタント。