2020年 消防官就職者数ランキング
写真=国士舘大学
今回は消防官の就職者が多い大学を紹介する。消防官輩出のために、各大学ではどのような取り組みが行われているのか。順に見ていこう。
110人を輩出した国士舘大学が、警察官と合わせ消防官でも1位を獲得。4年制大学として日本で初めて、救急救命士国家試験受験資格を取得できる体育学部スポーツ医科学科を設置した。同学科では、東京消防庁の隊長経験者など実務経験豊富な教員のもと、実践力のある救急救命士へと成長できる環境を実現。実際の救急車や救助実習訓練用の施設も用意されている。また全学的に「防災教育」に注力するのも同大の特徴。全学部の新入生が、災害に関わる基礎知識や心肺蘇生法、応急手当などを実習で学ぶほか、単位修得で防災士の受験資格を得られる「防災リーダー養成論」を開講している。
2位は帝京大学で68人。医療技術学部スポーツ医療学科救急救命士コースでは、救急現場を想定したシナリオを学生自らが作成するシミュレーション実習のほか、救急車同乗実習、救命センター実習、精神科実習などの多様な実習を通して、在学中から実際の救急現場に近い環境で経験を重ねる機会を提供する。また、体力錬成にも重点を置いており、基礎医学や救急救護医学の基礎を段階的に習得する日々の授業と合わせて、救急救命士に欠かせない筋力・体力づくりを入学後から卒業まで行う。救急車や救命機器といった設備はもちろん、救急救命士コース専用の実習室も用意されている。
3位は日本大学で53人。同大の中でも注目したいのが、2016年開設の危機管理学部だ。社会のあらゆる危機を研究対象とし、特に災害マネジメント領域では、自然災害対策とともに、災害の事前対策や救急・救援活動、事後の復旧・復興などを幅広く学習。2年次から希望進路を踏まえて専門科目を体系的に履修する仕組みも、キャリアの実現に奏功している。なお、同大では公務員への就職支援にも注目したい。職業理解から試験・面接対策に及ぶ各種講座、公務員合宿やセミナーなどのイベント、個別相談体制をはじめとした手厚い支援が、学生の意欲を後押ししている。
4位は日本体育大学で50人。5位には帝京平成大学が48人で続く。1987年に開学した帝京技術科学大学は、徹底した実学教育を柱に、例年、看護、コメディカル、鍼灸などの分野で全国トップレベルの合格者数を誇っている。地域に密着した医療人の育成を目指す健康医療スポーツ学部は、医療スポーツ学科に救急救命士コースを設け、消防機関や各種医療機関に多くの人材を輩出。救急救命士に求められる倫理や、情報科学から心理まで幅広い分野を学修し、加えて消防機関や救急救命センターの協力のもとで行う実習を通して、業務における使命を理解するとともに、総合的・多角的に考察力を培っている。
<表の見方>
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医科・歯科の単科大等を除く全国735大学に2020年春の就職状況を調査。551大学から得た回答を基にランキングを作成した。
設置の※印は国立、◎印は私立、無印は公立。大学名横の*印は大学院修了者を含むことを表す。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。